大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
ふたりが軽快に階段を上がっていくのを見送ったあと、父に続いて客間に向かった。
「どうぞ」
心なしか顔が引きつっている父は、いつもの威圧的な様は鳴りを潜めて終始腰が低い。
私が敏正さんの隣に座ると、父が座卓の向こうに正座した。
「お金を用立てていただいて、ありがとうございます」
結婚の挨拶の前に父から切り出す。
敏正さんは頭を下げる父を見つめて表情ひとつ変えなかった。
「私が偶然接待で吉原にいなければ、郁子さんは今頃遊女として働いていたでしょう。彼女はお母上が亡くなられてから、懸命に三谷家を盛り立ててきたはず。それなのに、女衒に売り飛ばすとは、許されることではありません」
敏正さんは淡々と話してはいるが、その端々から怒りが漏れる。
「郁子が吉原に行ってもかまわないと……」
父が言いわけをした瞬間、敏正さんは机をドンと叩いて怒りをむき出しにした。
「どうぞ」
心なしか顔が引きつっている父は、いつもの威圧的な様は鳴りを潜めて終始腰が低い。
私が敏正さんの隣に座ると、父が座卓の向こうに正座した。
「お金を用立てていただいて、ありがとうございます」
結婚の挨拶の前に父から切り出す。
敏正さんは頭を下げる父を見つめて表情ひとつ変えなかった。
「私が偶然接待で吉原にいなければ、郁子さんは今頃遊女として働いていたでしょう。彼女はお母上が亡くなられてから、懸命に三谷家を盛り立ててきたはず。それなのに、女衒に売り飛ばすとは、許されることではありません」
敏正さんは淡々と話してはいるが、その端々から怒りが漏れる。
「郁子が吉原に行ってもかまわないと……」
父が言いわけをした瞬間、敏正さんは机をドンと叩いて怒りをむき出しにした。