大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
しかし、百貨店もあるが金融機関も多い日本橋は、敏正さんたちにとってなじみ深い場所なのかもしれない。


「敏正さん、百貨店でなにをお求めになるのですか?」


どうやら婚礼衣裳は峰岸織物と決めているようだし。


「食器の類をそろえようかと」
「たくさんあるじゃないですか」


足りなくて困るようなことはないのに。


「俺はそうしたものには無頓着で、実家を出るときに余っていたものを譲り受けたんだ。だから柄や大きさがまちまちだろう?」

「たしかにそうですが」

「郁子と同じものを使いたいと思ってね。夫婦になるのだし、嫌か?」


敏正さんの言葉に、鼓動が勢いを増す。

嫌なわけがない。
食器の違いなど気にかけたこともなかったけれど、同じものを使えると思うだけでこれほど胸が高鳴るとは思いもよらなかった。


「うれしいです!」


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