大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「そうだね。峰岸織物はまだ設立されて間もない会社だが、手を組んで着物を製作しているんだ」

「そうでしたの?」

「あぁ。綿糸の輸出一辺倒ではこの先やっていけないからね。父が生糸も扱うようになってから、うちの綿糸や生糸を峰岸さんで反物に加工してもらっているんだよ。ここは職人の腕がたしかで、着物の仕立てまで安心して任せられる」


そうやって商売を広げていく力が津田紡績にはあるのだ。
三谷商店の立て直しもその一環なのかもしれない。


「それで、白無垢か色打掛か決めたか?」

「どうしても決められないんです。敏正さん、決めてください」


これは照れ隠しでもなんでもなく、敏正さんが望むものを纏いたいと思った。

少しずつだけど、彼と夫婦になるという気持ちが高まっているのかもしれない。


「うーん。それは困った。どっちもいいね」


不意に私の手を握る彼は、私より楽しそうに見える。

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