大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
これは政略結婚なのに、彼と恋に落ちて祝言を迎えるかのような錯覚を感じてしまった。


結局どちらも着させてもらい、峰岸織物の織りの技術が際立つ色打掛に決定した。

津田家の招待客の中には日本で貿易商を営む外国人も多数いるらしく、そうした人たちも華やかな着物を好むのだとか。

それから泰子や貫一の着物まで購入して、三谷家に届けるように手配してくれた敏正さんには頭が上がらない。


「泰子たちの心配までしていただけるなんて、本当にありがとうございます」


店を出たあと首を垂れる。


「もう夫になるのだからこれくらいなんでもないよ。お父上に生活費の足しをお渡ししているとはいえ、男親では着物のことまで気が回らないだろうからね」

「敏正さんも男性ですわ?」

「そうだった」


クスクス笑う彼と一緒にいられるこの時間がずっと続けばいいのに。


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