大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
偶然出会い拾ってもらっただけなのに、こんなに穏やかで楽しいひとときを過ごせるとはなんて幸せ者だろう。

敏正さんと関われば関わるほど、自分の気持ちが彼に傾いていくのを感じていた。



九月上頃の日曜日。

私たちは津田家の本邸の大広間で祝言を執り行った。

この大広間は、時折政府の重鎮を招いたパーティなる晩餐会が開かれる洋室で、敷き詰められた絨毯に、脚に美しい彫刻が施された長机やふかふかの椅子が用意されている。

新調してもらった色打掛は朱色の地に鶴や花御所車、そして牡丹や桜といった花々がきらびやかに散らされた高級品。

ひと針ひと針丁寧に施された刺繍は、職人の技が光っている。

そのずっしりとした重さは、これからの人生をも背負っている気がして緊張したが、背筋がピンと伸びた。


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