大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
祝言はそれから二時間ほど続いた。
すべてのお客さまに挨拶を済ませて、ホッとひと息つく。
「郁子も少し食べなさい」
料理に手をつけていない私を敏正さんが促した。
しかし私は緊張と暑さのせいか、体調がすぐれない。
食欲がなく、「ありがとうございます」と答えたものの、フォークを手にしなかった。
なんとか無事に参列者のお見送りまで終わると、「郁子」と敏正さんが難しい顔をして私の名を口にする。
「はい」
「よく頑張った。すぐに帯をほどこう。とわ、部屋を用意してくれ」
もしかして体調がすぐれないのに気づいているの?
敏正さんは女中を呼んでてきぱきと指示を出し、なんと私を軽々抱き上げる。
「孝義さん、郁子の顔が真っ青ですので、あとはお願いしても?」
「承知しました」
そして一橋さんに伝言をして奥へと急いだ。
「郁子、もっとしっかりつかまりなさい」