大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
そうはいっても、このような行為をされたのは初めてて、顔が火照って仕方ない。


「は、はい」


ためらいがちに首のうしろに手を回すと、彼は「少し我慢して」と足を速めた。


女中が用意してくれた客間にはベッドなる夜具が置いてあり、敏正さんは私をそこに下ろした。


「郁子。随分我慢させたね。すまない」
「い、いえっ」


まさかずっと気にしていたの?


「打掛姿、永遠に見ていたいくらいだけど脱ごうか。帯を緩めよう」

「あっ、いえ。自分で……」


と答えたものの、いつもの着物なら簡単に脱ぎ着できるが、花嫁衣裳となるとそうもいかない。


「恥ずかしがらなくていい。もう夫婦になったのだし」


私の帯に手をかける敏正さんにささやかれて、心臓がドクンと大きな音を立てる。

春江さんに『お子さまを授かるのも早いかもしれませんね』と言われたのを思い出したのだ。


敏正さんは、するすると帯を解いていく。


< 127 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop