大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「夫婦なのだから、一緒に寝よう」
「は、はい」


口から飛び出してきそうなほど心臓がドクンドクンと大きく打ち始めて、彼に聞こえていないか心配になる。

承諾の返事をしたというのに一歩も足を踏み出せない。うつむいたまま黙っていると、敏正さんは私の顎に手をかけ持ち上げた。


「郁子」


色情たっぷりに名前を呼ばれ、瞬きすらできなくなる。

彼の美しい瞳に自分の姿が映っているのに気づき、息をするのも忘れそうになった。


「お前はかわいいな」


かわいい? このおてんばの私が?


「耳が真っ赤だ」


唖然としていると、彼が私の耳元に口を寄せて艶やかにささやくので、腰が砕けそうになる。


「ほら、こっち」


敏正さんはガチガチに固まり声も出せない私の腰を抱き、布団へと誘導する。


「あはは。棒のようだ」
「キャッ」


緊張で直立不動状態だった私を笑う彼は、いきなり抱き上げて布団に下ろす。
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