大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
敏正さんは私と暮らしだしてから、朝まで戻ってこないという日はない。

ただ、接待で帰りが日をまたいだことはあり、吉原でなくても花街に行っていないとは言いきれない。


「女はどれだけ我慢したらいいんでしょうね」


これまでずっとにこやかだった彼女は、眉間にシワを刻み苦しげに吐き出した。


最近は女性も社会進出が甚だしく、電話交換手、バスガール、雑誌記者などもいる。

離縁して自立する道もあるとは思うけど、簡単ではないだろう。


そのときふと、結婚には終わりを迎える事例もあるのだと考えた。

敏正さんの求婚を受け入れたときは、生涯彼についていくと決意した。

しかし、富子のように女が愛想を尽かす事例もあれば、もしかしたら男のほうから離縁を言いだされることもあるのだ。

嫌よ。そんなの、嫌。

敏正さんとの生活が楽しくてたまらない私は、心の中で叫んでいた。


< 147 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop