大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
でも、三谷商店の経営が軌道に乗って津田紡績も潤い、敏正さんの次期社長としての能力を知らしめられたら、もう私はお払い箱? 

もしかして、彼が私を抱こうとしないのはそのつもりがあるから?

ううん、そんなわけがない。
敏正さんはあんなに優しいじゃない。


自分に言い聞かせても、サーッと血の気が引いていく。


「郁子?」

「あっ、ごめん。悲しいなと思って」

「……うん。そりゃあ親が決めた結婚だけど、この人とならと思ったのに。女遊びさえなければいい人なの。勤勉だし、優しいし。でも、妻としては……ねぇ」


富子は視線を伏せた。

たしかに、どれだけいい人でも他の女性を抱いているなんて我慢できない。

妾が容認されていた時代もあったようだけど、私は嫌。

もし、敏正さんが遊女と閨を共にしていたら……。

だめだめ。
余計なことを考えては気が滅入る。


「富子、どうするの?」

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