大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「もう一度話してみようと思ってる。それでもやめてくださらなかったら、今度は父に間に入ってもらうわ。離縁覚悟で」

「離縁……」


輿入れが決まり、幸せいっぱいで退学していった同級生は他にもいたけれど、皆幸せに暮らしているとは限らないのか。

厳しい現実を突きつけられた私は、衝撃を受けていた。


「こんな話をしてごめんなさい。郁子はうまくいってるんでしょ?」
「う、うん」
「郁子のほうが先に子ができるかもね。できたら教えてよ」
「そうね」


私はまだ一度も肌を重ねていないと明かせなかった。



十四時を過ぎた頃、富子と別れて自宅に帰ろうと人力車を捕まえた。

けれど、ふと思い立って丸の内に向かうことにした。


鉄骨レンガ造りの立派な東京駅が見える場所に、三谷商店が手がけている四階建てのビルヂングの建設現場があるのだ。

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