大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「ですが、最近勢いがないといいますか……。口数が減ったし笑顔が少ないと敏正さまが心配されていましたよ?」


敏正さんまで?

自分でもぼんやりしている時間が増えたという自覚はある。
なにをしていても心が弾まないのだ。


「なにか、お悩みでも?」
「い、いえっ。とんでもない。元気いっぱいですから、ご心配なく」


私は笑顔を作り、雑巾がけを続けた。

どうしたら、敏正さんをつなぎとめておけるの? 
妓楼の花魁に敵わないのは、どんなところなのかしら。

吉原の大門で女衒に触れられそうになって拒否したら、『男を喜ばせる手練手管を覚えてから言いやがれ!』と啖呵を切られた。

私は敏正さんを喜ばせる術なんて知らない。
やはり、そうした部分が足りないの?

はぁ、と小さな溜息が出てしまう。

足りないとわかっていても、どうにもならないからだ。

まさか、敏正さん以外の男性に教えてもらうわけにもいかない。


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