大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「母上は家事だけでは飽き足らず、舞を習い始めて今では師範だし、書物が好きで週に何冊も読むんだ。常に新しいものに挑戦しているような人で、おてんば具合は郁子のはるか上を行っているさ」

「まさか」


言葉をなくしていると、彼はクスッと笑う。


「叱られるから秘密だぞ? でも、社長夫人として人前に出るときは毅然としている。父上がまるで別人だと笑っているけど、そんな母上が自慢だといつも聞かされて、実は少々うんざりしている」


茶化すように話す彼は、私の背を押して部屋に入り、算術の本を手にした。


「こんなに難しいものも解けるのはすごいな。でも、ひとりで学ぶのは大変だろう?」

「はい。わからなくても質問できないので」


答えると彼はうんうんとうなずいて口を開く。


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