大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
紡績会社の女工と言えば、低賃金で酷使されるという印象があるが、津田紡績は破格の賃金を支払っているという。

だから辞める人が少なく優秀な人材が育つとか。

そんな素晴らしい会社で働けるなんて、最高だ。


「でも誤解するな。あの五千圓のために働けと言っているわけではない。だから、毎日でなくてもいいし、働きに見合った賃金も支払う。好きに使うといい」

「いえっ、賃金なんてとんでもない。本当なら女工から始めるべきなのに」


借金を肩代わりしてもらい、三谷家の生活費の面倒まで見てもらっているのに、賃金もいただくなんてありえない。


「また頑固が始まった。俺の妻が女工はおかしいだろう? 俺もお前も恵まれた環境に生まれた。それをねたむ者はもちろんいる。でも、苦労がなかったわけではないはずだ」


私はうなずいた。

子爵家に生まれたのは幸運だった。
だからこそ女学校にも行けた。

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