大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
けれども、幼い頃は厳しいしつけに涙を流したのも数知れず。

成長してからも、家の恥にならぬよう常に上品な振る舞いを心がけなければならず息苦しかったし、親に指示された通りの結婚も覚悟していた。

なにもかも思い通りだったわけではない。

しかも、吉原に売られそうになるという経験までしたのだし。


「皆それぞれ、与えられたものに感謝して、自分の立場でできることをすればいいんだ」

「わかりました。でも私は学ばせていただくのですから、お給料はいただけません。だから、少しでも工員さんに」


彼の話には納得したけれど、やはり三谷商店に大量の資金を投入してもらっているのに、さらにいただくわけにはいかない。


「お前は……。もう降参。わかった、給料は払わん。その代わり俺が甘やかそう」


彼は私の腰を抱き、優しく微笑んだ。



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