大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
寂しいけれど……わがままだし、なによりそんな胸の内を告白するのは恥ずかしすぎる。


「俺は寂しいよ。毎日郁子と一緒に飯を食って、抱きしめながら眠りたい」


熱を孕んだ視線で射られて、心臓が暴走を始める。

それならどうして触れてくださらないの?

疑問は深まるばかりなのに、そんなはしたない言葉を口にはできない。


「郁子は寂しくない?」
「さ、寂しいです」


つい本音を言わされて、耳まで熱い。

けれども、「そうか」と彼が満足そうな顔をするので、これでよかったのだと感じた。



その晩も、布団に入った彼は私を抱きしめた。


「会社で郁子の噂をよく耳にするようになったよ」

「噂? なんでしょう。敏正さんの恥になっていなければいいのですが……」


会社ではできるだけおしとやかにするように心がけているので、大きな粗相はしていないと思うけど、心配になる。


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