大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「恥どころか、鼻が高いよ。仕事熱心で向上心もあって、しかも素直。偉ぶるところもまったくないと評判だよ」

「あらまあ。そんなに評価が高いと重荷ですわ」


期待させておいて、会ってみたらそうでもなかったとがっかりされそうだ。


「いや、その通りだから問題ないだろ」

「敏正さんまで……」

「算術の勉強も見てもらってるんだって?」

「はい。隣の席の高山さんが、大学でそちらの勉強をされていたそうで。休憩時間にお願いしています」


敏正さんが言った通り、実際に経理をしていると本で学んでいるよりずっと計算が速くなってきた。

しかし計算以外の知識もつけたくて、教えてもらっている。


「よかったな。しかし、少し……」
「少し? なんですの?」


彼が言葉を止めるので、離れて顔を見つめた。

ガラス製品が好きな私のために購入してくれた乳白色のガラスの傘の中の電灯の光が、彼の困ったような顔を浮かび上がらせる。
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