大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「……他の男と郁子が話しているなんて、こうモヤモヤするというか。いや、忘れてくれ。度量が狭すぎる」
彼は額に手を当て、ふぅと小さな溜息をつく。
そんな彼が意外すぎて目を瞠った。
「忘れません。だって、そんなふうに思ってくださるなんて、私……」
それ以上は恥ずかしくて、彼の胸に顔をうずめてから続ける。
「うれしい、です」
「郁子?」
驚いたような声を発した敏正さんは、私の背中に手を回して抱きしめてくる。
「そう、か。最近、だめなんだ。郁子をずっとこうして閉じ込めておきたくてたまらない。俺が会社に行ってみないかと提案したのに、いざ外に出したら心配でたまらない」
「大丈夫です。皆さん、お優しいですし」
過保護な彼にそう返事をすると、彼は私の頬にかかった髪をそっとよけてくれる。