大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「ありがとう。今日はいい夢が見られそうだ」


彼の柔らかな声色は、私を穏やかな気持ちに導いてくれる。


「はい。おやすみなさい」
「うん、おやすみ」


私は彼の鼓動を聞きながら、ゆっくりまぶたを下ろした。



敏正さんの嫉妬を知った私は、いつになく元気いっぱい。

仕事がお休みの今日は、朝から掃除に精を出した。


「郁子さま、私がやりますから」
「私は毎日できないのだから、やらせてよ」


最近は二階の掃除を担当することが多かったけれど、久しぶりに一階の座敷を片付けていると春江さんが飛んでくる。


「女中がいらなくなります」

「あら、春江さんは必要よ。疲れて帰ってきたときに春江さんの顔を見るとホッとするもの」


本当に母のような存在だ。

敏正さんを玄関で出迎える私も、彼の疲れを癒せていないかしら、なんて期待するのは、昨日の言葉の数々で少し自信が持てたからだ。


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