大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
私が手にしたのは、以前敏正さんに皿をそろえてもらった江戸切子のグラスだ。


「こういうものは海外では好まれないのかしら? 着物も蒔絵もいいわね」


ふとそんなことを考えたのは、三谷商店を総合商社にと奔走している話を耳にしたからだ。

たしか江戸切子は、イギリスの職人を招いて技術を学んだと聞いた覚えがあるけれど、綿糸同様、日本製品の水準は高い。

諸外国でも絶対に手にしたいと考える人がいるはずだ。

着物も日本独特の文化のようだし、蒔絵の繊細さは溜息が出るほど。


こうしたひらめきが商売につながるのかも、なんて考えながら、次の店へと移動した。


結局、敏正さんへの贈り物はネクタイになった。

舶来品の腕巻き時計を見ていたのだが高価でとても手が出せず、ネクタイに落ち着いた。

帰りにはもちろん千歳の大福を購入するのを忘れない。
春江さんの大好物で日頃の感謝を示そうと考えていた。

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