大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
足抜けは、その三つには入らない許されざる方法ゆえ、死に至るほどの厳しい折檻なのか……。

でも、どうして菊乃という遊女が折檻を受けるからと、敏正さんが飛んでいかなければならないの? 
彼がなじみの客だから? 
いや、もしかしたら本気で愛しているの? 

またあの領収書が頭にちらつき、気持ちが落ちる。


大切な人なんだわ。

妻を放って駆けつけるほど、敏正さんには大切な遊女なのだ。


「春江さん、片づけをお願いできますか。ちょっと疲れてしまって、私は部屋で休みます」

「かしこまりました。大丈夫ですか?」

「横になれば大丈夫。よろしくお願いします」


私は二階に駆け上がり、自室の障子をピシャリと閉めた。


「政略結婚だものね……」


何度も敏正さんの愛を感じることはあったけど、所詮は利害が一致しただけだ。

敏正さんに手を差し伸べてもらえて本当に助かっている。
これ以上を望むなんて贅沢だ。

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