大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「……そう、ね。春江さん、今日はもういいわ。春江さんもたまには休憩して」

「そういうわけにはまいりません。郁子さまのお体も心配ですし。なにかあったら声をかけてくださいね」


彼女に障子を開けられなくてよかった。きっと真っ赤な目をしている。

それからしばらくすると、どうやら敏正さんが帰ってきたようだ。
彼は今日も仕事なので着替えに来たのかもしれない。


「郁子」


廊下から小声で名を呼ばれたものの、ギュッと目を閉じて寝たふりをする。
すると彼はそーっと入ってきて、私の枕もとに座った。


「ごめんな。体調が悪かったなんて気づかなくて。そういえば昨日少し変だったもんな」


体調が悪いと訴えれば行かないでくれたの? 
ううん、折檻を受けて最悪亡くなってしまうかもしれない大切な人を、放っておけないわよね。

でも、私はあなたの妻なの!

落胆と反発心でいっぱいになりながら、心の中で叫ぶ。


< 195 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop