大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
でも、津田家ほどの財力があれば、身請けのためのお金も用意できたのでは? 
ご両親が許さなかった?

考えれば考えるほど混乱して、頭が痛くなる。


私の吉原行きを阻止してくれたのは、菊乃さんとの結ばれない苦しい日々があったから? 

遊女の胸の内をよく知っている彼は、売られる私に必要以上に感情移入したのかもしれない。

でも……。
三谷家が必要としていたお金を用立ててもらい、なおかつ会社の立て直しにまで手を貸してくれるのだから、この結婚は間違っていなかった。

敏正さんに頼らなければ借金が膨らんで、泰子まで売られていた可能性だってあるのだし。


「贅沢よね」


敏正さんが仕事を成功させるために私を妻にしたいと承知した上で求婚を受け入れたのに、今さら愛がほしいなんて。


私は唇を噛みしめ、必死に自分の気持ちを落ち着けようとした。



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