大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
気にはなるが、どんな答えが返ってくるかと考えると、怖くて自分からは聞けない。


隣で眠っているのがいたたまれなくなりそっと布団から出ようとすると、彼の手が伸びてきて捕まった。

起きているのかと思ったけれど眠ったままのようだ。

こんなこと、しないで。
菊乃さんに心があるなら、思わせぶりな態度は取らないで。

あなたを愛してしまうから――。
ううん。もう、愛してしまった。

菊乃さんの話を聞いて食事がのどを通らなくなるほど、あなたを好き、なのに。

敏正さん……。

心の中で彼の名を呼び、広い胸に頬をぴったりとくっつける。
そして、彼の浴衣を握りしめたまま目を閉じた。



翌朝は早起きをして、かまどに火を入れた。

ずっと沈んでいては追い出されてしまうかもしれない。
敏正さんは元気な私がいいとおっしゃるんだもの。

朝食用のおかゆを煮込み始めた頃、春江さんもやってきて目を丸くしている。


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