大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
肌が粟立ち、血の気が引いていく。

まさか、だなんて。
私が気にしないと思った? 

彼にとって私はその程度の存在なの?


絶望に胸が震え、ますます涙が止まらない。

でも、最初から政略結婚だと承知していたのに、敏正さんに恋をした私が悪い。


「郁子?」


彼に優しく名を呼ばれ、もうこれ以上想いを隠しておくなんて無理だと思った。

だって私は……敏正さんを愛してしまったから。
彼を世界で一番お慕いしているのだから。


「……敏正さんは私の夫です。私だけの……。行かないで」
「郁子……」


とうとう胸の内を吐き出してしまった。
すると彼は私をグイッと引き寄せて抱きしめてくる。

これはどういう意味? 泣かせた罪滅ぼし?

私は所詮政略結婚の相手。
こんな告白をしたら面倒なだけだとわかっているのに止められなかった。


< 208 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop