大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「初めて吉原の前で郁子に会ったとき、『気安く触れないで』と毅然としていたお前を美しいと思った。朝日に照らされた凛々しき表情に目を奪われた」


彼は私の両頬を大きな手で包み込みながら話す。


「愛おしいと強く思うようになったのは、一緒に生活するようになってからだ。美しいだけでなく優しくて強くて、そして温かい心を持つ郁子に心が吸い寄せられて……そばに置きたいと感じた」


私、を?

信じられないような言葉に、しばし呆然としてしまう。


それならどうして? どうして触れてくださらないの?


「私との結婚は、三谷商店の再興のためではないのですか?」


三谷商店を大きくして津田紡績に貢献させるとともに、自身の手腕を知らしめるための結婚でしょう?


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