大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
もう日が変わってからの帰宅となったが、まったく眠くはない。
脳が興奮しているのだろうか。
春江さんには私たちの帰りを待たずに帰宅するようにと伝えてあったので、私が持っていた鍵で玄関を開けて敏正さんを先に入るよう促すと、強く腕を引かれて倒れそうになる。
しかし、彼の広い胸に抱きとめられた。
「郁子。本当にすまなかった。いつも言葉が足らないと孝義さんからよく注意されているのに。郁子をこれほど苦しめていたとは情けない夫だ」
私は彼の腕の中で首を横に振っていた。
たしかに、吉原に行く理由をはっきり教えてくれればこれほど悩まなくて済んだだろう。
しかし、彼が言った通り、やましい点がまったくなかったからこそくわしくは語らなかったはずだ。
しかも菊乃さんの話は、吉原に売られる寸前だった私にとって心が張り裂けそうに痛むほど悲しい現実だった。
それもあり話したくなかったのかもしれない。
脳が興奮しているのだろうか。
春江さんには私たちの帰りを待たずに帰宅するようにと伝えてあったので、私が持っていた鍵で玄関を開けて敏正さんを先に入るよう促すと、強く腕を引かれて倒れそうになる。
しかし、彼の広い胸に抱きとめられた。
「郁子。本当にすまなかった。いつも言葉が足らないと孝義さんからよく注意されているのに。郁子をこれほど苦しめていたとは情けない夫だ」
私は彼の腕の中で首を横に振っていた。
たしかに、吉原に行く理由をはっきり教えてくれればこれほど悩まなくて済んだだろう。
しかし、彼が言った通り、やましい点がまったくなかったからこそくわしくは語らなかったはずだ。
しかも菊乃さんの話は、吉原に売られる寸前だった私にとって心が張り裂けそうに痛むほど悲しい現実だった。
それもあり話したくなかったのかもしれない。