大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「もう、いいんです。敏正さんに愛していただけているとわかっただけで私は――」


それ以上続かなかったのは、彼の熱い口づけが降ってきたからだ。


「郁子。抱きたい。抱いてもいいか?」


そう問われ、かつてないほど心臓が暴れだしたのがわかる。
けれど、断る理由などひとつもない。


「……はい」


私が答えた瞬間、彼は私の髪のかんざしをスッと抜いた。

すると、結わえていた髪がバサッと落ちてきて、それと同時にもう一度唇が重なる。

息も許されないような激しい口づけのあと、彼は少し乱暴に私の手を引き、二階への階段を上がっていく。

こんなに焦った様子の敏正さんを知らない。


春江さんが敷いておいてくれた布団に私を寝かした彼は、外套と背広を脱ぎ捨て、私の顔の横に両手をついて見下ろしてくる。


「愛している。一生、俺だけのものでいてくれ」
「はい」


感極まり涙声になる。
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