大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「そういう問題ではございません。五千圓ものお金を昔の恩があるから払うなんて、そのせいで津田家が傾いては困ります!」


少しムキになって訴えれば、彼は口元に手を当てて肩を震わせている。


「それを心配するのは津田家で、郁子がするのはおかしいだろう? 払わないでくれと聞こえるが?」
「あ……」


そういうことになるのか。
けれども、津田家に迷惑がかかっては申し訳ないという気持ちが募り、どうしたらいいのかわからないのだ。


「私はどうすれば……。せめて働き口を紹介してください。飲まず食わずとはいきませんが、二十年でも三十年でも働きます。女工でもなんでも致します」


一橋さんはそれでも返済は無茶だと話していたけれど、他に方法がない。


「郁子がどれだけ働いても、父上が借金を重ねたら水の泡だ」

「それは、商売から身を引いてもらえるように、父を説得して……」

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