大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「職を失えば、妹や弟が路頭に迷うぞ」


一番痛いところをつかれて、黙るしかなくなった。


「心配するな。三谷家に五千払うが、ただ金を持っていくつもりはない」

「どういう意味でしょう」

「これは駆け引き。三谷商店の経営が軌道に乗れば問題ない話だ。五千圓などすぐに回収できる」


私には仕事の話は難しく、彼の発言の意図がますますわからない。


「だから、ここにシワを寄せるなと話しただろう?」


敏正さんは再び私の額に触れて笑みを漏らす。


「父には、一旦郁子を引き受けたのだからきちんと責任は取れと。それが津田家の人間としての矜持だと、強く念を押された」

「責任?」

「父に試されているのだよ、俺は」

「試されているとは?」


どうして我が家のいざこざで、敏正さんが試されるの?


< 52 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop