大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「柔軟に物事を考えられるか。なにを切り捨てなにを手にすべきか判断できるか。まあ、津田紡績を継げるだけの器かどうかということをね」


彼は余裕の笑みを浮かべているが、私の頭の中は混乱するばかりで「はぁ」としか返せない。


「その呆けた表情もいい」
「ほ、呆けてなど……」


話が呑み込めないだけだ。


「とにかく、乗りかかった船だ。悪いようにはしない。しばらく、三谷商店のことは俺に任せてほしい。信じてもらえればの話だけどね」

「信じてって……。今さら信じるなと言われても困ります」


知り合いの恩人の娘だからという理由だけで、叱られるのがわかっていてポンと金を出し、食事までさせてくれる。

世間知らずの私には、人間の本質を見抜く力などない。

だから、彼の思惑に邪な気持ちがある可能性はあるけれど、今は信じるという選択しかない。


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