大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「はははっ。それはよかった。とにかく、腹が減った。話はあとだ。あっ、孝義さんに頼んでおいた着物や浴衣が下に届いていたから着替えるといい。春江」


彼は立ち上がり、障子の向こうに顔を出して春江さんを呼ぶ。


「はい」
「郁子の浴衣を持ってきてくれ」


そして階下から聞こえた返事に、指示を出した。


「いえっ、私が取りにまいります」


用意してもらえただけでもありがたい。
なにせ一文無しなのだし。


「子爵令嬢のくせに働き者なんだな。それでは一緒に行こうか」
「はい」


振り返った彼にとびきり優しい表情で微笑まれて、なぜか心臓がトクンと小さな音を立てた。



敏正さんが手配してくれた着物や浴衣は大量で、他にも日常の生活に必要なものがずらりとそろっていて目を丸くした。


「こんなに?」
「足りなければ言えばいい」
「私はひとつしか体がないのですよ? もう十分です!」


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