大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「今日、帰ってきてから話すよ。遅れると孝義さんに叱られる」
「はい」


一瞬の間が気になったけれど、たしかに出社の時間が迫っている。
私は返事をして漬物を口に運んだ。



敏正さんをお見送りしたあとは、朝食の片づけをして、春江さんと一緒に洗濯にいそしむ。

洗濯は三谷の家ではあまりしなかったが、大きなたらいでたくさんの浴衣を洗っていると夢中になり、楽しくなってきた。


「郁子さま、濡れた手で顔を触られたのでは? 泡がついていますよ」

「あっ、お恥ずかしい」


私が泰子たちの面倒を見ていたように、春江さんに手拭いで顔を拭かれて決まりが悪い。

けれども笑みが絶えないのは、自分が妹や弟の将来をなんとかしなければならないと、知らず知らずの間に背負っていた重圧を敏正さんが取り去ってくれたからだろう。


「私にも娘がいたらこれくらいだったでしょうね」


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