大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
春江さんの声が震える。
子を亡くした彼女にとって、どんな言葉より胸に響いたのだろう。
「郁子さま。敏正さまは仕事では別の顔をお持ちです。時には手段を選ばず目的を達成し、時には冷酷に突き放すような一面も」
吉原で出会ってから、一度もそんな姿を見ていないのでにわかには信じ難い。
しかし、長く敏正さんを見てきた彼女の話なのだから、間違ってはいないのだろう。
「はい」
「ですが、それは敏正さまの本当のお姿ではありません。今後、そのような場面に遭遇されても、どうか敏正さまを信じてください。敏正さまは郁子さまがとても気に入っていらっしゃるようで」
「えっ?」
ピンと張り詰めた空気が、彼女のひと言で瞬時に緩む。
「私がお出迎えすると、不服そうな顔で『郁子はどうした?』と必ずお聞きになるんですよ」
子を亡くした彼女にとって、どんな言葉より胸に響いたのだろう。
「郁子さま。敏正さまは仕事では別の顔をお持ちです。時には手段を選ばず目的を達成し、時には冷酷に突き放すような一面も」
吉原で出会ってから、一度もそんな姿を見ていないのでにわかには信じ難い。
しかし、長く敏正さんを見てきた彼女の話なのだから、間違ってはいないのだろう。
「はい」
「ですが、それは敏正さまの本当のお姿ではありません。今後、そのような場面に遭遇されても、どうか敏正さまを信じてください。敏正さまは郁子さまがとても気に入っていらっしゃるようで」
「えっ?」
ピンと張り詰めた空気が、彼女のひと言で瞬時に緩む。
「私がお出迎えすると、不服そうな顔で『郁子はどうした?』と必ずお聞きになるんですよ」