大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「敏正さんは大切な接客中でして。二時間後に車をよこします。それまでにご用意を。それでは私は失礼します」
「はい。ありがとうございました」
慌ただしく去っていく一橋さんを見送ったあと、早速炊事場の隣にある春江さんの部屋に向かった。
彼女に大福を渡すだけのつもりだったのに、それから着せ替え人形にさせられてしまった。
津田家に行くと話したら、張り切りだしたのだ。
「どれもお似合いですが、やはりこの桜色の袷(あわせ)にしましょう。ここの庭にも春には八重桜が咲くんですよ。それを彷彿とさせます」
いろいろ私にあててみて、最終的に選んだのは桜色の地に大輪の牡丹が描かれたとても華やかな一品。
それから帯もあれこれ悩み、自分で整えると言ったのに髪も櫛で梳かし始める。