大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
最近流行りのモダンな耳隠しにしようと張り切っていたけれど、女学生だった頃にいつもしていた、耳の上の髪を束ねて大きなリボンをつけた束髪くずしに落ち着いた。
どうやら耳隠しは大人びていて私には似合わないという判断だったようだけど、そんな私が津田家の嫁なんて務まるのかと不安が募ってしまった。
しかし、仕事が早く終わったからとみずから迎えに来てくれた敏正さんが、玄関先で私を見つめて「いいじゃないか」とつぶやいたとき、無理して背伸びをしなくてもいいのかもしれないと感じた。
彼の手を取り、自動車の後部座席に乗ると、敏正さんは運転手に「行きなさい」と指示を出す。
「自動車なんて初めてです」
「父が好きでね。これは津田紡績の車だよ」
初めての経験に辺りをキョロキョロと落ち着きなく見回してしまう。
「その着物、よく似合っているね。春江がお節介を焼いただろう」
どうやら耳隠しは大人びていて私には似合わないという判断だったようだけど、そんな私が津田家の嫁なんて務まるのかと不安が募ってしまった。
しかし、仕事が早く終わったからとみずから迎えに来てくれた敏正さんが、玄関先で私を見つめて「いいじゃないか」とつぶやいたとき、無理して背伸びをしなくてもいいのかもしれないと感じた。
彼の手を取り、自動車の後部座席に乗ると、敏正さんは運転手に「行きなさい」と指示を出す。
「自動車なんて初めてです」
「父が好きでね。これは津田紡績の車だよ」
初めての経験に辺りをキョロキョロと落ち着きなく見回してしまう。
「その着物、よく似合っているね。春江がお節介を焼いただろう」