大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「はい。すべて整えてくださって。母上のようでした」

「嫌なら嫌と言ってもかまわないよ。ただ春江は子を持てなかったからか、母のようなことをしたがるんだ。時々やりすぎだと思うときもあるんだが……」


敏正さんの表情が優しくて、おそらく彼もわざと世話を焼いてもらっているのだろうなと感じる。


「信頼できる人間だ」
「わかっております」


彼が大勢の中からひとりだけ連れてきた女中なのだから、間違いないはずだ。


「緊張しているのか?」
「そりゃあ、しますよ」
「あはは。大門を前にしたあのときの強気はどこに行った?」
「あ、あれは……」


あとに引けなかったから。
いや、この結婚も後戻りはできない。


「でも、もう強がりは必要ない。ずっと俺の隣で笑っていればいい」


敏正さんの優しい言葉に鼓動が速まる。

政略結婚であることに戸惑いはしたけれど、きっとこの選択は間違っていない。

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