大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
これから彼に恋い焦がれて、幸せな夫婦になろう。



津田家の本邸は、腰が抜けそうになるほど大きくて立派な洋館だった。

なんでもここで大切なお客さまを招いてのパーティもするらしい。


「郁子、口が開いてる」


車から降りた私を、敏正さんがからかう。


「だって……。こんなに大きいとは」

「隣の日本建築も津田家のものだ。以前は父と母が住んでいて、俺もここで育った。祖父母が亡くなってからは、父と母が洋館に移って、別邸のほうは妹夫婦が暮らしている」

「妹さん?」


そういえば、妹がいるとは聞いたけれど、くわしくは聞いていない。


「うん。俺の四つ下なんだが、そのうち会わせるから、仲よくしてやって」

「もちろんです」

「それじゃあ、行こうか」


敏正さんは不意に私の手を握った。

吉原から去る際も手首をつかまれたけれど、今日は手をしっかりと握られて心臓が跳ねる。


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