大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
なんと気さくな方なのだろう。

もっと堅苦しくて厳しい方だと予想していたので拍子抜けだ。


「ありがとうございます」


通された客間には、ハイカラな長テーブルの周りに椅子が八脚置かれていて、すでに食器が並んでいた。


「そちらにどうぞ」


女中が引いてくれた椅子に座ろうとしたそのとき、敏正さんと同じように背が高く、精悍な顔つきの男性が入ってきた。

きっとお父さまだ。

白いシャツにスラックス姿のお父さまが私をじっと見つめてくるので、静寂を緊張の糸が縫う。


私は直立不動になり顔を引きつらせた。

お母さまはすんなり私を受け入れてくれたようだけど、お父さまは気に入らない?

息が苦しいほどカチカチになっていると、お父さまがふと口元を緩めるので、ようやく空気が肺に入ってくる。


「あやに似ていると言っていたが、本当だね。どこがというわけではなく雰囲気かな?」


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