大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
それを観察していたの?


「はい。郁子は顔に泡をつけて洗濯にいそしむような女なんです」

「あははは。まるであやだね」


あやというのはお母さまの名前だろう。
「言わないでください」と頬を赤らめている姿がとてもかわいらしい。


以前敏正さんが、お母さまは子爵家の出だけれど働くのが好きと話していたが、やはりそうらしく、親近感が湧いた。


お父さまが敏正さんの正面の席に座ると、「改めて」と敏正さんが私を紹介し始める。


「三谷郁子さんです。彼女と結婚します」


結婚の相談ではなく『結婚します』と言いきった敏正さんに少し驚いたけれど、お父さまがうんうんとうなずいているので、緊張が緩む。


「三谷郁子と申します。この度は三谷家のことで大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません」


五千圓もの大金をつぎ込んでくれるお礼もしなければと、深く腰を折る。


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