Dear boy,Dear girl~ワケあり男子と秘密の同居生活~
右手をギュッと握りしめたまま…

奥村くんの体温が伝わる…

それは…男と女のいやらしいものじゃなくて…
心の中を開こうとする温かい親友みたいな…そんな暖かさを秘めていた。

「喧嘩したの…」

「え?」

「全国大会の決勝の日…寝坊したの。いつも時間には正確で絶対間違うことなかったお母さんが寝坊して…で遅刻するから…わたしめちゃくちゃお母さんにキレまくって…決勝なのになんで寝坊すんの?遅れて負けたらどうしてくれんのよ!って…言いながら、大急ぎで家出て…」

わたしの目に涙が溢れてきた。

あのときあんなこと言わなければって何度後悔したことか…

「それで案の定試合もボロボロで…負けて…泣いて家帰って…そしたら、お母さんが玄関に冷たくなって倒れてた…」

自分だって目覚ましもかけてない甘えた中学生だったくせになんであんな言い方したんだろう…

「お母さんがね…家出るときに…玄関で『がんばって!』って叫んでたのが聞こえてたの…けど振り向かなかった。でもお母さんはその場所で…」

あのときお母さんを見つけたときの衝撃は忘れらんない…

「わたしを見送ったあと…お母さんはそこでそのまま息絶えたの…」

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