五年越しの、君にキス。


「梨良、パンツ見えてるよ」

不意に伊祥の気配が迫ってきたかと思うと、彼が耳元にボソッとささやく。


「え!?」

まさか、しゃがんでたあいだずっと!?

スカートの裾を引っ張りながら、ガバッと顔を上げると、伊祥が口元を緩めてククッと笑った。


「やっと顔あげた」

「騙したの?」

「梨良が全然顔あげないからだよ」

悪戯っぽく口元を歪めた伊祥が、ゆっくりと立ち上がる。

それから、座り込んだままの私に手のひらを差し伸べて、にこりと笑いかけてきた。


「梨良、行こう」

軽く首を横に傾ける伊祥の顔をじっと見上げる。

四ノ宮グループの代表に頭を下げてきたはずなのに、いつもと変わらない笑顔を私に向けてくる伊祥が、何を考えているのかわからなかった。


「どうして私なの?」

差し出された手をとる代わりにそう尋ねたら、伊祥が困ったように苦笑いする。

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