五年越しの、君にキス。




パーティー会場を抜け出したあと、伊祥は私をビルのさらに上層階にあるバーに連れて行った。

案内されたVIP専用個室の窓からは、街の夜景が見下ろせる。


「見て。すごい景色!」

遠くのほうに見えるスカイツリーを興奮気味に指さしたら、個室のドアが開いて、イチゴがのったホールケーキが運ばれてきた。


「梨良、お誕生日おめでとう」

伊祥からのサプライズに、驚きすぎで言葉が出ない。

サプライズケーキをふたりで分け合って食べたあと、それまでテーブルを挟んで向かい合うようにソファーに座っていた伊祥が、私の隣に座り直した。


「そろそろ戻って休もうか。遅くなるから、下のホテルの部屋押さえてる」

綺麗な夜景とサプライズのケーキ、それから少しのお酒によってふわふわとした気持ちでいると、伊祥が私の耳元にささやいた。

その言葉の意味をつい深読みしてしまった私の頬が、かぁっと朱に染まる。


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