五年越しの、君にキス。
仕事用のカバンをリビングのソファーに置いてキッチンに行くと、冬木さんが言っていたように、お粥を作るのに必要な材料や調理器具が準備されてあった。
この家のキッチンは前後左右に広いうえ、棚や引き出しもやたらと多いので、いつも必要なものを探すために右往左往してしまう。
だから、こんなふうに予め準備してもらっているとものすごくありがたい。
冬木さんの優しさに感謝して、私は伊祥にリクエストされた卵粥を作った。
冬木さんが来ていたなら、卵粥くらい作ってもらえばよかったのに。
グツグツと音をたて始めた鍋の火を止めながら、そういえば前にもこんなふうに伊祥に卵粥を作ったことがあったなと思う。
そのときの私は、まだ伊祥とは付き合っていなかった。
だけど、大学二回生のときに同じ講義で偶然近くの席に座ったのをきっかけに、伊祥からやたらと絡まれてはいた。