五年越しの、君にキス。
「うーん、って……」
「とても綺麗に着こなされていてお似合いですよ」
どんなドレスを着てみてもはっきりとした感想を言わない伊祥の代わりに、着替えを手伝ってくれていたスタッフの女性が笑顔で褒めてくれる。
だけど正直、当たり障りのない無難な感想を述べられているとしか思えない。
「もちろん、基本的には全部似合ってるよ。梨良、何着ても可愛いし」
「へ……!?」
「でも、梨良が選ぶ色は地味なんだよね。もうちょっと色もデザインも華やかなやつのほうが梨良には似合うと思うよ」
伊祥がさらっと言ったひとことに過剰に反応して声をあげると、彼が私を見つめてにこりと笑った。
私たち二人だけの貸切状態になっている高級ブティックで、ドレスを試着してはその姿を伊祥と店のスタッフの前に晒す。
そんな一人ファッションショーを強要されているだけでもかなり恥ずかしいのに、「何着ても可愛い」なんて、さらに恥ずかしくなるようなことをスタッフの前で言わないでほしい。