五年越しの、君にキス。

学生時代に伊祥としていたデートは、映画を見て街中をぶらぶらしたり、景色の良い公園に出かけて散歩をしたり、たまに水族館や美術館に行ってみたり。おそらく、一般的なものだったと思う。

ただ、一緒に服を見に行ったり、食事をしたときに、学生にしては値段の高価な店に入るんだなーと思うことはよくあったけど……

さすがにこんな高級ブティックに連れてこられたことはない。

大企業グループのご子息との本来の「デート」とはこういうもので、学生のときの伊祥は庶民レベルの私に合わせた「デート」をしてくれていたんだろうか。

眉間を寄せた難しい顔で、ブティックの棚の右から左までいっぱいに並ぶ女性物のパーティードレスを眺める。

この棚にはドレスしかないのに、とにかく数が多すぎる。

色だけでなくデザインも様々で、どれを手に取ればいいのかわからない。

普段からあまり派手な色のものは着慣れないせいで、つい無難な色に目がいってしまうのだけど……

色もデザインも華やかなドレスってどんなだろう。

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