五年越しの、君にキス。
「それより!どうして私はこんなところに連れてこられて、さっきからドレスを選ばされてるの?」
「あー、うん……」
じとっとした目で伊祥を見上げると、彼が私からわざとらしく視線を外しながら言葉を濁す。
「だいたい、目的もわからないままに好きなものを選べって言われたって困る。今選ばされてるこれは、いったい何用なの?」
普段着であるわけがないし、伊祥は何らかの目的があって私をここに連れてきたはずだ。
「何用かって聞かれたら、俺から梨良へのプレゼントかな。ほら、来週は梨良の誕生日でしょ?」
私に視線を戻してにこっと笑いかけてくる、伊祥の表情がものすごく胡散臭い。
確かに、来週の土曜日は私の誕生日だ。特に何か言ったわけでもないのに、誕生日を覚えてくれていたことは嬉しいけど……
「もし誕生日プレゼントなら、着る予定のないドレスよりも、もっと実用的なものをもらいたい」