五年越しの、君にキス。
「どう、かな?」
何も言わないということは、イマイチなのだろうか。
せっかく選んでくれたのに、ガッカリさせたかもしれない。
伊祥と繋いだままの手の指先に、ほんの少し力が入る。
しばらく待っても伊祥が反応を示さないので、だんだんと不安になってきた。
目を伏せて伊祥の手をそっと離そうとしたとき、彼がぎゅっと私の指先を握る。
思わず肩をビクリと震わせて顔を上げると、伊祥が私を見つめて満足そうに口端を引き上げていた。
「可愛い。すごく似合ってる。予想以上に綺麗だから、見惚れちゃった。さすが、俺の奥さん」
あまりの褒めちぎりように、返す言葉さえなくして赤くなる。
微量の甘さと熱を孕んだライトブラウンの瞳に愛おしそうに見つめられて目を伏せると、伊祥がクスリと小さく笑った。
「あれ、言わないの?いつものやつ。『まだ奥さんじゃない』って」
私のほうにおもむろに手を伸ばしてきた伊祥が、ドレスの肩にかかる髪を整える。