五年越しの、君にキス。
「だって、本当に面倒だし。それに、梨良の可愛い姿をこうして他人の目に晒すことだって、全然俺の本意じゃない」
私の頭を引き寄せた伊祥が、さりげなく顳顬にキスをする。
「ちょ、なに……」
伊祥の発言と行動に動揺して、少し震える手のひらで顔の横を押さえる。
顔を赤くして眉間を寄せると、伊祥がようやく今日初めての笑顔を見せた。
不機嫌な顔をされているよりは笑ってくれていたほうがいいけれど、これからパーティー会場に入るというときに変な揶揄い方をするのはやめてもらいたい。
「じゃぁ、行こうか」
私を揶揄って少し気分でもよくなったのか、伊祥は私をエスコートするようにして会場の入り口へと足を進めていった。