五年越しの、君にキス。

知り合いもいないので、ひとりきりなのが寂しいけれど、さすが高級フレンチレストランのお料理だけあって、食が進む。

ミントブルーの華やかなドレスで普段よりも着飾っているのに、そんなこと忘れて普通に食べすぎそうだ。

最初にとったお料理を全て食べ終えた私は、辺りにまだ伊祥の姿がないことを確認して二巡目に並ぶ。

次は何を食べようかと、ビュッフェテーブルを眺めて品定めていると、後ろに並ぶ女性たちの会話が聞こえてきた。


「そういえば、今日は美藤ホールディングスのご子息が御三方とも来られてたわよ」

「御三方ともって、伊祥さんも?」

「そうそう。伊祥さんは、こういうところには滅多に来られないから珍しいわよね」

美藤ホールディングスや伊祥というワードが聞こえてきて、私の意識が料理からそれる。

盗み聞きはよくないとは思いながらも、私は自然と後ろの会話に耳を澄ませてしまっていた。


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